小野寺タヒチ ブログ

離婚・婚活を経て再婚。5回目の体外受精で妊娠するも、逆子のため帝王切開。現在は一人息子の子育て中!

不妊治療、いつ始める?いつまで続ける?

34歳で結婚。

交際中から、できるだけ早く子どもが欲しいという私の意見に夫も賛同してくれ、結婚後、すぐに妊活開始。

毎月、排卵日検査薬排卵日を測定し、それに合わせて夫婦生活を持っていましたが、半年経っても妊娠に至らず。

まだ半年、まだ34歳、まだまだ大丈夫。という思いと相反して

少しでも若い方が治療に有利、後々後悔しないために早く行動した方が良いのでは、という思いも。

 

周りの同級生たちから、産婦人科に通いホルモン値検査をしている、病院で排卵日を予測してもらっている、食事の指導を受けてる、という報告を聞いていたので、「なら、まずは自分もやってみよう」という、気楽な気持ちで不妊治療専門のクリニックを受診しました。

 

ホルモン値や、排卵の有無、卵管の詰まりなど、私の検査が一通り終わり、結果は良好。この値なら、妊娠しやすい状態だと言える、と医師からのお墨付きも。

しかし、主人の検査では、精子の数がWHOの1mlあたり150~200万という数に及ばず、100万以下で、運動精子の割合も基準より低いという結果が。

 

これは、あくまで「基準」。

基準値以下=自然妊娠ができない、わけではない。

けれど、既にタイミング法(エコーで卵子の状態を確認し、排卵日を予測し、その日に夫婦生活を持つ方法)を4回行っていたので、病院側からは人工授精へのステップアップを勧められました。

 

順風満帆な交際を経て、幸せな新婚生活を楽しんできた私たち夫婦にとって、初めての大きな「迷い」でした。

 

タイミング法は、あくまで排卵日を「予測」するのであって、何かを人工的にコントロールするものではありません。夫婦生活のタイミングを指示されるだけで、あとは自然妊娠と同じです。

しかしながら、人工授精は、採取した精液を洗浄し、より良い精子を集めて、注射器で戻す作業です。受精する前段階で医療の力を借りるわけです。しかしながら、妊娠率はなんとたったの10パーセント強。可能性の低い治療法なのです。

 

医療の力を借りても、こんなにも妊娠することが難しいという現実は、衝撃でした。

そして、今後の進退を「選択させられる」という厳しさも同時に感じました。

 

今のままでは妊娠しずらいという現実がありながら、ステップアップしないということは、子どもを諦めるということなのか…という不安。

人工授精へステップアップするということは、そこで妊娠に至らなかった場合は体外受精へ更なるステップアップをするのか、不妊治療を諦めるのか、という選択が待っているという恐ろしさ。

更に、体外受精で妊娠に至らなかった場合は、また選択させられるのです。数十万円の大金を使って、体の負担を強いて、再び治療するのか、諦めるのかを。

 

「みんなやっているから、私も」「少しでも早い方が」と気軽な気持ちで門をたたいてしまった不妊治療。

 

その時の私は気づいていませんでした。

不妊治療を「始める」ということは、「治療をやめる」か「妊娠する」の2択しか選べなくなるということを。

治療をやめること、イコール、妊娠できない、ではありません。

でも、どこかで思うのです。治療をやめたら、子どもを諦めることになるのかもしれない…と。

 

結局、5回の人工授精でも妊娠が叶わず。

顕微授精までステップアップしました。激痛だった採卵を乗り越えて、来月、授精俳胚の移植を予定しています。

 

今は不妊治療をカミングアウトする著名人も増え、それに伴い、辛い治療を乗り越えて子どもを授かった成功体験もフューチャーされてきました。

「頑張れば、いつかは」という希望を与えてくれるという意味では、誰かの成功体験は大変ありがたいものです。

しかし、治療をしている人の中で、子どもを未だ抱けていない人がどれほど多いことか…私もその中の一人です。

 

私が通院している川崎市内のクリニックでは、年間延べ1817人の人工授精と、延べ657人の体外受精のための採卵を行っているそうです。

一体、このうちの何人が子どもを抱けているのでしょうか…

 

不妊治療は、金銭的にも体力的にも、精神的にもとても辛い。

でも、もし元気な子どもが産めたら、全て美談です。

 

不妊治療に挑む人たちは、「次こそ」という希望と、いつまで続けるのか、という不安の間にいます。

いつも迷い、いつも決断を迫られています。